白馬にある貞麟寺さん
自然に囲まれたこちらのお寺に〝自然葬〟という形で眠っている私の父。
「ちいさな家族」はもちろん大切だけれど、たまには父にも会いに行こう。
車で往復3時間。いつ葬儀や打ち合わせが入るかわからないため、なかなか行き辛い…。と言い訳しながら年に1回、「この時間ならもう大丈夫かな」と思った時、そして天気のいい日に出向きます。冬は雪に埋もれてしまうため、4月〜11月がチャンス。
来月は父の12回目の命日。その2日前は愛猫ぷうの4回目の命日。ぷうの命日を意識し過ぎて、毎年父の命日を忘れてしまう…。その前に会いに行こう!
少しの花と、父の好きな甘いものとおかき系。それと数少ない父の写真を持って。
日焼け対策、虫除け対策はしっかりと。何しろ山の中だから。
そして、いざ出発。
急な思いつきだったので、兄弟たちにも声をかけておらず一人〝クリスハート〟のカバーアルバムを聴きながら。
何も考えていなかった割に、こんな時にちょうどいい曲ばかり。
〝家族になろうよ〟〝ありがとう〟〝home〟
『いつか父さんみたいに大きな背中で…どんな事も越えていける家族になろうよ。』
時々鬼のように怖いけれど、普段は私を〝ゆかちゃん〟と呼ぶ穏やかな父が好きだった。
プールに連れて行ってもらった時、「だぁ〜れだ?」赤の他人の背中に抱きついた私。慌てて、でも笑いながら近づいてきた父。
外出先から自宅が近づくと、抱っこして欲しくて寝たふりをする私を部屋まで優しく運んでくれた父。
この偶然の選曲が素晴らしい…。うっかり泣けてきました。
感傷に浸っていると、道路に…。
またか…。
イヤホンを使い、市役所に連絡を。電話が繋がり、場所の説明をしていると…。
道路端に…。
その場所もナビを見ながら、目印になる建物を探しながら伝えました。
「どうして…。なんでこんな風に命を落とさなければいけないのだろう。」
「少なくとも2台の車の運転手がいるはずだけれど、通報はしてくれていないのか…」
どうしようもなくやり切れない気持ちで運転していると、まさかの3匹目…。また市役所へ連絡をしました。
「どうして…。首輪がついていたような…でも、違うかな…。いや、そうかな。そうだとしたら、ご家族が捜しているのでは…。」
はぁ…。もうお墓参り気分じゃないけれど、あと少しで着くから行こう。
ため息をはきながら、父の眠る場所へ着きました。
着いた途端、アブの大群が!車にバチバチ体当たり、攻撃されています…!
もう帰ろう。さっきの子たちが気になるし、これはお父さんが、「ゆかちゃん、行ってあげな。」と言っているんだ。そう思うことにし、手を合わせ、車から降りる事なく出発しました。
まずは3匹目の子のところへ。車を停めるには危険かと思う場所でしたが、レジャーシートを持って近寄ると、野生の動物のようでした。
「ごめんね。火葬してあげられないけれど、これ以上体に傷がつかないように、もうすぐお迎えが来てくれるからね。」
その後来た道を走りながら、あとの2匹がいないことを確認し、帰宅しました。
なんという一日だったのだろう。父に会いに行くはずが、動物たちの最後の姿を見届けた一日。
父に導かれたのか、あの子たちに導かれたのか…。
お墓参りはまた改めて出直そう。今日は、これでよかったと思おう。
お父さん、またね。
もしも動物を轢いてしまったら、もしも亡骸を見つけたら、その地域の役所に場所を伝えてあげてください。
もしも首輪をしていたら、捜しているご家族がいるかもしれません。
道路端に寄せてあげられたなら。くれぐれも周りの車にお気をつけてください。
ちいさな家族にありがとう 虹の架け橋ぷう
虹の架け橋ぷう 公式ホームページhttp://nijinokakehashi-poo.info/