お庭から寺院の合祀墓へ ちいさな家族の眠りの場所

ちいさな家族の眠りの場所

「人の手が入る前に掘り起こしてきちんと供養してあげたい。」

数年前にご自宅敷地内に埋葬したあの子を工事が始まる前にお墓に埋葬し直したい。

ご連絡をいただき、打ち合わせを兼ね現地の確認に伺いました。

陽当たりのよい場所、柔らかな土に、首輪をした石と、お気に入りだったと思われるボールが3つ置かれていました。

梅雨が明けたら工事が始まり、他人の手が入ります。その前にお遺骨を掘り起こし、寺院の合祀墓に移してあげたい。

梅雨の合間の晴れた日に決行しました。前日はよく降り、心配だったためもう一度現地確認に。そして当日。ご家族のみなさんも長靴を履きに手袋をして準備は万端です。

ご住職による読経。手を合わせ見守ります。いよいよ始めます。まずはスコップで大きく土を掘り、お父さんの記憶を頼りにさらに掘り進め、最初のお遺骨が見つかってからは丁寧にゆっくり手で掘り進めました。そこからは役割分担を。お母さんたちには、土から細かな石や小枝などを分けていただき、お父さんには引き続き大きく空いた穴をさらに掘り進めていただきました。私は分けていただいた石などとお遺骨を水で洗いながら分ける作業に取りかかりました。

色々なパターンを想定し、この日お願いして来てもらった助っ人さんもお父さんと一緒に力作業をしていただきました。

曇り空ではありましたが梅雨時期特有の蒸し暑い日。汗でベタベタですがどなたも休もうとなさらず心配に。持参したペットボトルをお配りし、休憩していただくようお願いしましたが、みなさん真剣に向き合い手を止めることはありませんでした。

そうしてそれぞれの作業が進み、ひと段落しました。

7年間、あの子が眠っていた場所をきれいに元の状態に戻し、ご住職に丁寧に読経をあげていただきました。

お遺骨はどの程度残っているのか、そしてその状態はいかがなものか、ご依頼をいただいてから心配で同業の先輩方に意見を伺ったり、想定できる全てのパターンに対応できるよう準備を進めてこの日を迎えましたが、とてもしっかりと綺麗に残ってくれていました。

立派な歯もそのまま、可愛らしいお顔を撫でるお父さん。もしかしたら手離すのが惜しくなってしまったのではと念の為伺いましたが、予定通り、寺院にご納骨されることになりました。

 

松本市 観音寺

シャワー、お昼の時間をとり、午後は寺院にてご納骨式が執り行われました。

観音様の石碑の下にはたくさんの子たちが眠っています。最後まで誰かに愛されてきた子たち。今日からここがあの子の眠りの場所となります。

お家から少し離れますが、またいつでも会いに来れる場所。

元気いっぱい、やんちゃだったというあの子。
ふわふわで大きく見えるけれど、濡れると細くなっちゃうあの子。

15歳で病気知らずだったというあの子は、無邪気な笑顔のまま、これからもずっとご家族の心に。

たくさんの幸せをありがとう。

また会いに来るからね。ゆっくりおやすみ。

 

ちいさな家族にありがとう 虹の架け橋ぷうhttps://nijinokakehashi-poo.info/plan.html