動物病院で何度もお見かけする方がいらっしゃいました。
雨の降る日も、真剣に看護師さんに相談する懸命な姿は、自分の姿にも重なり…
また、毎日通い詰めていらっしゃるのかと思うほど、お見かけすることが多く、ついに話しかけてしまいました。
「介護のサポートやアドバイスをしてくださる、専門の方々もいらっしゃいますよ。ご相談されてみてはいかがでしょうか?」
葬儀屋である私に話しかけられては縁起でもない…と不快にしてしまわないかと思い名乗りませんでした。
それから数ヶ月が経ちました。
15年前、夢に見ていました。妄想してしまうほどワンちゃんとの暮らしに憧れていました。まだ見ぬ子に名前もつけ、さらに夢は膨らみました。
そしてついに現実となり、その子中心の生活が始まりました。
やんちゃな幼少期、笑顔の可愛いぱつんぱつんな青年期。
いつも誰かのそばにいるキミ。
日向ぼっこが好きなキミ。
新品のおもちゃは喜んで遊ぶけれど、すぐに飽きてしまうキミ。
ちょっとツンデレなキミ。
ワンちゃんが苦手だったお母さんもメロメロになりました。
おじいちゃんになっても、寝たきりになってもずっと可愛いままです。
いえ、可愛さは無限で、ますます可愛くなるばかりでした。
家族のサポートが必要になり、できることはなんでもしました。家には誰かがいるようにし、ひとりにすることはほとんどありませんでした。どんなに手がかかってもいい。だからまだそばにいてね。
明日も明後日も幸せな時間を共に過ごせますように。
喜んで食べてくれた蒸しパンも食べられなくなり、そして…。
大好きな家で、キミを大切に想う家族が見守る中、キミは長い眠りにつきました。
あれから数ヶ月が経ちましたが、今もみんなの心の大事なところにあの子がいます。
忘れるわけないよ。
今もこれからも大好きだよ。
生まれてきてくれて、一緒に生きてくれてありがとう。
悲しみよりも、愛おしい気持ちの方が強い。そんな存在になってくれてありがとう。
あの日もらっておいた、尻尾のお骨は勾玉に。
少し硬い毛は触れられるチャームとお守りに。
大好きな鼻はタイルに。
立派な肉球もタイルに。
宇宙球にもお骨を納めました。
これからフォトフレームもつくります。
まだまだ泣いてしまうし、これからも泣くと思う。でも、キミを想うと笑顔にもなれるんだよ。重いなんて思わないよね。溢れる愛情、笑って受け止めてね。
可愛くて可愛くて。大好きで大好きで。これからもずっと、私たちのかけがえのない宝です。