ある日、1本の電話が。
「うちの子が寝たきりになりました。遠からず、その日が来てしまうかもしれない。その時お願いできますか?」
つまり、(生前予約)です…。この電話をかけなければいけないご家族の心中は…。
その日が来るのが1日でも1秒でも先になりますように。そして、今できることを一緒に考えましょう。
床擦れしないように、硬いフードが食べられなくても柔らかいフードはどうでしょう?点滴、シリンジでお水を。 そして何より、側にいられる今を大切に…。
それから約1ヶ月、気にはなりましたがこちらからご連絡するわけにいかない職業。あの子はどうしているかな?食欲戻ったかな?ご家族はどうされているかな?奇跡は起きたかな?ご連絡がないのは元気な証。
しかし…。
ある晩電話が。
「いよいよかもしれません…。」
そしてその数日後。
「今眠りにつきました。」
翌日、お葬儀の打ち合わせのためご自宅に伺うと、たくさんのぬいぐるみに囲まれたはなちゃん。可愛いお顔をしています。
14歳5ヶ月。
いつものごはんが食べられなくなっても、これなら食べられるかも、柔らかいものなら食べられるかも、フルーツなら、あれなら…。
お家で点滴もしました。針を刺すときには胸がチクッと痛みます。でも、この子のためになるなら。この子が頑張ってくれているのだから。
この子のためならなんでもしたい。この子には私たちしかいないのだから。
人が大好きで、ワンコには興味がありません。体が大きいから、無邪気なだけなのに、たまに怖がられてしまうことも。失礼しちゃうよね?遊びたいだけだもんね!
いつまでも赤ちゃんのような存在だから、お父さんとお母さん、ふたりで出かけると必ずお土産を買って帰りました。どんどん増えたぬいぐるみ。中でもこの子たちがお気に入り。
食いしん坊で、好きなものがたくさんあります。ちくわ、ビスケット、ジャーキー、りんご。
りんごは可愛くウサギさんにしてあげよう。 「あと何が好きかなあ?」
最近はお散歩行けなかったから、明日はいつものお散歩道をまわってみよう。
お口にお水もね。
私たちが送ってあげられるのは、途中までだよ。
たくさん食べてね。お水も飲んでね。
子守唄代わりに、お経もあげてもらおうね。
はなちゃん、14年以上も一緒にいてくれてありがとう。「まだまだ一緒にいたい。」お父さん、お母さんの気持ちに精一杯応えてくれたね。
眠りにつくとき、お父さんの帰りを待ってくれてありがとう。見届けるのは辛いけど、見届けられないのはもっと辛かったかもしれない。お母さんひとりだったら…。
大きく少し硬いあなたのお手手
これからもずっと忘れないよ。またいつか逢えるよね。それまで待っていてね。大好きなあなたへ。